平成23年度 震災で得られた知恵・教訓等を通じた
持続可能な社会のための環境教育素材集

本素材集の作成にあたって

 平成23年3月11日に起こった東日本大震災では、被災地を中心として、復旧から復興に向けた新しい地域づくり、社会づくりを構想していく必要があります。「持続可能な社会」は、その際の柱になる概念です。震災によって多くの人々が、これまで以上に自然への理解を深めること、自然との共生のあり方について真剣に考えること、そして電力不足の状況に直面することによって、エネルギーの供給と利用のあり方を含むこれまでの「持続可能な社会」像を見つめ直さなければならないと考え始めています。さらに、平成14年12月の国連総会において、平成17年から平成26年までの10年間を「国連持続可能な開発のための教育(Education for SustainableDevelopment=ESD)の10年」とすることが決議されているように、「持続可能な社会」の基礎となる教育の重要性は国際的にも高まっています。この「持続可能な社会」という言葉では、震災直後に明らかになった自然災害への備えや、エネルギーの供給と利用に関することだけでなく、健康で文化的な生活の保証、人と人とのつながり、人と自然のつながりを大切にする地域づくりといった点も、重要な要素とされています。

 震災時および復興時の実話、写真、映像には、自然との関わり方における先人の知恵や、地域コミュニティの重要性への認識から再発見された教訓などが含まれており、「持続可能な社会」を実現していくための示唆を多く含んでいます。今回の環境教育素材集では、この知恵と教訓を「持続可能な社会」というキーワードのもとで10本のテーマに沿って再編集し、次代を担う若者に対してこの時期にきちんと伝えておくことが、将来の持続可能な社会の構築のためには重要と考えています。そのため、今回の環境教育素材集の活用にあたっては、単純に環境を学ぶための知識学習といったものではなく、教室という場においてひとつの事象について個々が考え、教室全体として議論していく過程が非常に重要だと考えています。

 環境教育素材集を使用して授業を行う際には、(1)震災のエピソードを通じて、被災者や支援者など復興に向けた活動をしている人々の想いを想像し、今の自分に何ができるかを考えてもらうこと、(2)震災のエピソードから得られる知恵や教訓をもとに、戦争や貧困、環境破壊などの大きな問題を解消する持続可能な社会について考えるきっかけにしてもらうこと、などを念頭に置いて進めて欲しいと考えています。しかし、これはあくまでヒントであり、単一な答えが導き出されるものではありません。意見を出し合いながら、考えてみることそのものが重要です。

「使用の手引き」は小学校、中学校、高等学校といった公的教育に加え、広く社会で教育活動をされている方など、次世代のために何か伝えておきたいという方も対象としています。授業の進行に関しては、一方的に指導者がリードするのではなく、それぞれの生徒がひとつのことを考えるプロセスが重要であり、そうした授業の一助となることを期待しています。

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